1.有機野菜とは「有機JAS認証を受けた農作物」
近年、有機野菜、オーガニックという言葉を耳にする機会が増えてきました。
日本にこの言葉が上陸した時は、まだ一部の芸能人やセレブ達が愛用しているだけで、一般の人々の家庭には浸透していませんでしたが、いまや、オーガニック専門店は日本全国いたるところに姿を現し、町中の身近なスーパーなどでもオーガニックの商品を見かけることが普通となってきました。
しかし、有機、オーガニックとはどのようなものなのでしょうか。
その言葉がプリントされたパッケージなしでは、一見、全く判断のしようがないように思われます。
日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会によると、「農薬や化学肥料に頼らず、自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法」を有機、オーガニックと呼ぶとしており、原則として「生態系」「健康」「公正」「配慮」の4項目が掲げられています。
食品の生産は、食品衛生法の下、異物混入、菌類といった様々な危害に対処しつつ行われますが、有機野菜の栽培には、これらに加えて、農薬や化学肥料による化学的危害を徹底的に排除して行われるという特徴があります。
こうして正しく有機栽培を行われた野菜には、「有機JASマーク」が与えられ、公式に「有機野菜」と称して販売されることが認可されます。
この有機JAS認証がないものが「有機」「オーガニック」といった名称を表示することは法律で禁止されています。
2.有機野菜のメリット
有機野菜のメリットには、何といっても前項目で述べたように、可能な限り農薬や化学肥料を排除したという点があります。
通常の農業では、広大な土地でたくさんの野菜を栽培しますから、どうしても虫被害への対策や土壌の栄養を補うために農薬、化学肥料を使用する必要が出てきてしまいます。
また、収穫の際には大型機材を使うこともあります。
それを敢えて、可能な限り使用しないように努めることが、有機栽培なのです。
このように並々ならぬ手間暇をかけて作られた野菜は、自然に近い味がする、と言われています。
これらを踏まえて、有機野菜のメリットについて以下の項目でご説明したいと思います。
2.1 スーパーの野菜に比べて栄養価が高い
有機野菜はそうでない野菜に比べて栄養価が高いという話をよく耳にしますが、本当でしょうか。
有機栽培は、あくまで太陽や水など自然の恵みを第一に作られるものですから、その品質は自然に近いものであれ、栄養価が特別高くなる、ということについては疑問が生じます。
しかし、ある研究によると、有機野菜は「抗酸化物質」が多く含まれているというのです。
近年、アンチエイジングと言った分野でお馴染みの「抗酸化作用」を持つこの物質は、有機栽培下において野菜が自分の生命力のみで成長しようとする過程で多く作られるといいます。
ですから、肌の曲がり角と呼ばれる30代に差し掛かった女性や、まだ体質の安定していない子供たちにとっては、有機野菜の抗酸化物質がよい働きをしてくれることが期待できます。
2.2 安全性が高く、安心して食べることができる
ここまでで、有機野菜の安全性についてはすでにご理解いただけたように思います。
そこで改めて、この安全性は、あくまでオーガニックの目的ではなく、結果として生じたことを留意していただければと思います。
我々人間は、五生物や植物など自然界のありとあらゆるものがいてこそ、生きていける存在です。
土壌の栄養は、微生物が分解した有機物によって保たれ、そこで育った植物は太陽の光と水とで光合成をします。
そしてそれを食べる動物たちが、また微生物のえさとなる有機物を排出する。
こうした食物連鎖で作られる世界で生きるからこそ、微生物や植物の生存環境に配慮する必要がある、というのがオーガニックの目的です。
そして、この目的を意識して栽培するからこそ、結果的に安全性の高い有機野菜が生まれるのです。
自然界の生物の安全を思いやって作られた有機野菜は、それゆえに安全で、安心して食べることができます。
2.3 素材の味が美味しくて濃い
有機野菜が、その栽培方法の為に自然に近い味がする、ということは既にお話しました。
この自然に近い味というものが果たして、他のものに比べてより美味しいものと感じるのかどうかは、個人差があるように思われますが、日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会によると、学校給食の分野からは、普段は野菜を嫌って食べない子供たちが、オーガニック野菜であればおいしそうに食べるといった報告が多くされていると言います。
こうした子供たちにとっては、有機栽培によって作られた、自然に近くて素材の味を濃く感じる有機野菜は、本当においしいものなのでしょう。
3.有機野菜のデメリット
有機野菜のメリットについてここまで見てきました。
その安全性や美味しさに惹かれて、是非、家庭でも有機野菜を利用したいと思われる方もいらっしゃることでしょう。
そこでどうしてもお話をしておかなければならないのが、「有機野菜はイメージ通り、少々高価である」、「通常の野菜と比べて、手に入れづらい」というデメリットについてです。
3.1 スーパーの野菜に比べて高い
多くの方が想像される通り、オーガニック食品はどうしても先述のような生産過程に時間やコストがかかるため、その値段がスーパーで売られる一般品に比べて高くなってしまいます。
しかし近年、有機野菜については、有機栽培に着手する農家が増えてきたことや、有機農産物市場に関する調査が進んできたことで、徐々にその値段が入手しやすいものになるという期待が寄せられています。
3.2 有機野菜は手に入りづらい
有機野菜はどうしても手に入りづらいもの、という実感が多くお方にあると思われます。
スーパーでいくつか有機JASマークの商品を見かけることは増えてきていても、やはりその量は一般品に比べればはるかに少ないですし、一般品がさまざまな科学技術の応用で、季節外れの野菜の栽培をしています。
一方で、自然の恵みに頼る有機野菜は、なかなか季節のもの以外が店頭に並ぶことは少ないでしょう。
かといって、オーガニック専門店までわざわざ買いに行くのは、忙しい日々の中では難しいものです。
こうした理由から、オーガニック食品については食材宅配サービスを利用する、という方も近年増えてきているように思われます。
4.まとめ
有機、オーガニックという言葉の意味、理念をご理解いただけたとともに、有機野菜の安全性や美味しさについて興味を持っていただけたのであれば、幸いです。ぜひ、有機野菜を日常の生活の中に取り入れてみてください。